今回ご紹介するのは、粉茶で作るお茶漬けです。お茶漬けといえば、永谷園のお茶漬けの素やだし茶漬けのイメージが強いのではないでしょうか。以前、魯山人のお茶漬けに関するエッセイを読んで以来、粉茶で作るお茶漬けが大好きになりました。コツをつかむと簡単で色々なバリエーションが楽しめるので、本当に楽しいです。そんなお茶漬けの世界、これまで作ったものを振り返りながらご紹介します!ぜひ参考にして作ってみてください。
こちらは魯山人の茶漬けリストです。
- 塩鮭、塩鱒の茶漬け
- 鱧、穴子、鰻の茶漬け
- 納豆茶漬け
- 塩昆布茶漬け
- てんぷら茶漬け
- 京都のごりの茶漬け
- 車海老の茶漬け
- 鮪の茶漬け
- 海苔の茶漬け
鮪の茶漬け
こちらは鮪の茶漬けです。漬け鮪で作るお茶漬けが一般的かもしれませんが、魯山人流の鮪の茶漬けは漬けにはしませんし、だし汁ではなく煎茶と醤油だけで作ります。シンプルすぎて素材次第なところもありますが、安いマグロでも十分美味しいと思います!
作り方
- お椀にご飯をよそい鮪の刺身を3切れほどのせる。
- 醤油を鮪に回しかけて大根おろしをのせる。
- 粉茶を入れて完成。
鮪に最初にかける醤油は適当で大丈夫です。食べてみて味が薄かったら醤油を足していきます。大根おろしはあった方が美味しいですが、鮪だけでも美味しいです。最初にやった時は大根おろしではなくワサビにしました。香の物でもあればほかに何の惣菜もいらないと魯山人が言っている通り、これだけで十分贅沢な食卓になると思います!残り物の刺身でも美味しいのでぜひ試してみてください。
鮪の話
意外なことに、魯山人がベスト鮪にあげているのは岩手県の宮古産のマグロでした。現在は青森の大間のマグロが有名ですが、当時は三陸宮古のものが珍重されてたようです。今は冷凍技術や流通の発達で当時とはまた違う状況と思いますが、宮古産の鮪を食べてみたい!取り寄せサイトとか色々見ましたが、見つからなかったです。地元でないと食べられなそうですね。
魯山人の言う鮪の刺身の食い方は、大根おろしでした。初めてやってみましたが美味しい!さっぱりしてますが、白飯と合いそうです。今日はお茶漬けメインだったので、残り物の鮪と大根おろしでした。贅沢な残り物!
天ぷら茶漬け
こちらはスーパーの総菜、かき揚げを使って作った天ぷら茶漬けです。
天ぷら茶漬けをする際には、冷めた天ぷらをオーブントースターや魚焼きグリル、フライパンなどで温めます。フライパンが手軽に出来るのでおすすめです。油をひかずに弱火~中火ぐらいで両面軽く焼きます。
ご飯にのせて粉茶を注いだら完成です。
天ぷらの茶漬けは塩を入れながら食べると美味しい!
色々な天ぷら茶漬け
スーパーの総菜売り場には沢山天ぷらが並んでいますね。その分色んな天ぷら茶漬けが作れるので好みの味を探すと楽しいです。
出汁が出るのでやはり海老が美味しいですが、野菜も美味しいですし、魚の天ぷらも最高です!
こちらは穴子の天ぷら茶漬けです。晩酌にもいいですよ!
佃煮の茶漬け
こちらは佃煮の茶漬けです。佃煮はちりめん山椒で有名な京都祇園やよいの佃煮です。お茶漬用に角切り昆布、ごぼう、山蕗、ちりめん、椎茸を合わせた佃煮です。
粉茶をかけるだけで美味しい佃煮茶漬けの完成です!
色々な味がしてこれはうまい!思ったより薄味だったので、佃煮を追加でたっぷり入れました。佃煮は種類が多いので色々試すと面白そうですね。
鮭茶漬け
こちらは定番の鮭茶漬けです。作り方はとっても簡単!鮭を焼いてご飯にのせて粉茶をかけるだけです。魚を焼くのが面倒な時は、魚焼き用のフライパンで焼くと簡単です。皮がとっても美味しいので、こんがりとパリッと焼くのがおすすめです。
鮭をほぐしながら食べます。鮭の塩気次第ですが、もし薄ければ塩を足して調整します。醤油より塩の方が美味しいと思います!少し辛口の鮭の方が美味しいですね。
魯山人は塩鱒の茶漬けがお好み!?
魯山人の鮭茶漬けの話を改めて読んでみたら、塩鮭よりも塩鱒の方が味が良いと書いていました。
スーパーでよく見かける鮭は紅鮭とか銀鮭とか秋鮭とか、あとはのサーモンでしょうか。塩鱒って・・・サクラマスとか!?ニジマスやイワナとかヤマメも鱒でしょうか。けどたまに紅鮭が紅鱒って書いているのもあるような・・・。
塩鱒は少し手に入れにくいかもしれませんが、鮭で茶漬けをやるなら新巻鮭が一番いいと魯山人は書いていました。新巻鮭や新潟の塩引き鮭であればスーパーでも手に入りやすいですね。
鱒や新巻鮭も最高なんですが、塩鮭であれば何でも十分美味しいです。まずは普通の鮭でぜひやってみてください!
舞茸のお茶漬け
こちらは舞茸と海苔を使ったお茶漬けです。佃煮を作って粉茶をかけていただきます。市販の佃煮もいいですが冷蔵庫の残り物で出来るお茶漬けも簡単で美味しいのでおすすめ!
佃煮の作り方ですが、小さめのフライパンや鍋に水1、醤油2、みりん2の割合でいれて、舞茸を煮ていきます。舞茸の色がついたら海苔を入れて、煮汁がなくなったら完成。醤油の塩気で茶漬けをたべるので、ちょっと塩辛くてもいい感じになります。海苔を入れずに舞茸だけで作っても美味しいです。椎茸やしめじ、色々な茸でもやってみたいですね。
海老茶漬け
こちらは海老茶漬けです。魯山人風の粉茶を使ったお茶漬けにハマったきっかけになった思い出のお茶漬けです。この海老茶漬けは魯山人が紹介した作り方ではないんですが、粉茶と醤油だけで仕上げる魯山人のシンプルなお茶漬けです。
作り方は簡単!器にご飯を盛り海老をのせて醤油をかけます。お茶は海老にかけずまわりから注ぎます。
それだけでもう完成です!下から熱が入り海老がほんのり赤くなりました。醤油は味をみながら足していきます。
混ぜたりそーっと食べたりお好みです!刺身のパックについていた、わさびを入れたら味が変わってまた美味しかったです。お刺身用の海老も色々な種類があるので食べ比べもいいかもしれませんね。
海苔茶漬け
こちらは海苔茶漬けです。魯山人が紹介する茶漬けの中でも一番簡単でおすすめな一品です。
お椀にご飯をよそったら焼きのりを一枚ちぎっていれて、ワサビをちょっとのせて醤油をまわしかけ、粉茶を注げば完成です。ちょっと味が薄かったら食べながら醤油を足していきます。海苔多すぎない?って思うかもしれませんが全然そんなことなくて、参考にした魯山人の本にも一枚から一枚半使うって書いていました。上等な海苔で!って書いてあったので奮発して高い海苔でもいいかもしれませんね。
トッピングでシラスをのせるのも美味しいですね。海苔だけで十分美味しいんですが、ワサビや柚子胡椒、小口ネギなどの薬味やシラス、ちりめん山椒などちょい足しも楽しいので色々やってみると楽しいです。
海苔の話
実は、海苔すごい好きなんです!子供の頃から好きで、味海苔があればおやつは足りるって感じでした。大人になっても小腹がすいたら海苔、お酒を飲んだら海苔って感じでよく食べています。一時期は味海苔ではなくて焼き海苔がメインで一枚何もつけずにムシャムシャ食べるのが普通になったりしました。しばらく食べずにいると無性に食べたくなる時があって、海苔の栄養を欲していると思って素直に従っています。
市販されている板海苔は、ほとんどが焼き海苔ですが、乾海苔があったら是非試してみて欲しいです!焼いていない乾海苔を炙って焼き海苔にして食べるのが本来の焼き海苔の味です。魯山人の頃は備長炭で炙ったり、電気コンロで炙ったりしていたみたいです。子供の頃、母親がガスコンロで海苔を炙っている姿を覚えています。
湿気た焼きのりを炙っていただけかもしれませんが、もしかしたら乾海苔を焼いていたのかも!?以前新潟に旅行に行ったとき、偶然乾海苔を発見して買って帰りました。焼き立てはほんと美味しいです!
ちょっと話がそれましたが、海苔茶漬けは美味しいので是非試してみてください!余裕があれば、焼き立ての海苔で、本わさびで高級なお茶で・・・すごくうまそうですね。
獅子唐とじゃこのお茶漬け
こちらは獅子唐とじゃこの茶漬けです。獅子唐のお茶漬けはとっても美味しいのでおすすめです!
まず獅子唐とじゃこの佃煮を作ります。
作り方
- 小さめのフライパンに醤油大さじ2、酒大さじ2をいれて沸かす
- ごく弱火にして獅子唐1パック、じゃこを2つかみぐらいお好みでいれて蓋をする。
- 時々かき混ぜて獅子唐がくたっとなるまで火を通す。
塩気が強いですが、お茶漬けにするのでちょうどよくなります。少ない汁気で煮るので、次回は落し蓋にしてみようと思います。シンプルな料理なので酒は普通に飲んでいる美味しいお酒を使うといいと思います。茶碗にご飯をよそってお茶をかけて、最後に佃煮をのせれば完成です!
車海老の茶漬け
念願の車蝦茶漬けです!食通の魯山人は色々な食材で作る茶漬けを紹介しています。その中でずっと気になっていた車蝦の茶漬けをついに食べる事が出来ました。この茶漬けは小さめの車海老を佃煮のように煮て使いますが、車蝦自体が高級品なのでなかなか出来ないだろうと半分諦めていました。たまたま通販で手頃な車蝦があったので取り寄せました。
これまで塩鮭、てんぷら、納豆、海苔、鮪など魯山人が紹介した茶漬けをいくつか食べてみましたがどれも美味しくて、その中でも「無類の菜」と称した佃煮風の車蝦を使った茶漬け!果たしてその味とは??
車蝦の茶漬けで使うのは、まきと呼ばれる10cmから15cmぐらいの大きさのものが良いそうです。いつもの通り材料次第と魯山人は書いていますが、生きのいい新鮮ものが肝心です。今回使ったのは冷凍ものですが、小振りの車蝦を急速冷凍したものです。生きのいい海老ではないものの、魯山人の時代にはない急速冷凍という技術で何とかカバーできるか!?
うまそうだったので届いてすぐに数匹解凍して試しに塩焼きで食べたらすごく美味かったです。
この車蝦は、まきというよりも、もっと小振りのさいまきという大きさだと思いますが茶漬けには良さそうですね。
車蝦の佃煮を作る
一般的な佃煮は砂糖を入れて甘辛く味付けたものですが、車蝦の茶漬けで使うものは醤油と酒だけで煮ていきます。
シンプルなので素材が第一!という事で、お酒も贅沢に。
「生醤油に酒を三割ばかり割った汁」と書かれているので、醤油を140ml、酒を60ml使いました。
「二時間ほど焦げのつかないように煮つめる」そうですが・・・二時間!!!(笑)
とりあえずどんなもんか、弱火で煮ていきます。アルコールを飛ばすために蓋もせず気長に煮ていきました。
一時間煮まして、そろそろ限界!食べたくなっちゃったのもありますが、煮汁もこれ以上やったら焦げそうな感じなので食べてみることにしました。
車蝦の茶漬けを食す!
いよいよ念願の車蝦の茶漬けです。数年前からずった食いたかった茶漬けなので感慨深い。
海老と醤油の風味が合わさった何とも言えない良い香りです。
熱飯に車蝦をのせて粉茶をかけます。そうすると、魯山人が書いている通り、醤油が溶けてえびは白くなる。
さて、実食です。まずは汁とともに飯を一口、なるほど、うまいぞ!次に汁とともに、海老を一口、・・・・・・・・しょっぱい!!!!
どう考えても塩辛いと思っておりましたが、予想以上に塩辛い。何か作り方違ったのか!?やっぱり2時間煮ないとダメなのか!?
そう思い、改めて読み直してみました。せっかくなので全文紹介!
えびのぜいたくな茶漬けを紹介しよう。
これまた、その材料の吟味いかんによる。
これから述べようとするのは、東京の一流てんぷら屋の自慢するまきと称する車えびの一尾七、八匁までの小形のもので、江戸前の生きているのにかぎる。
横浜本牧あたりで獲とれたまきえびを、生醤油に酒を三割ばかり割った汁で、弱火にかけ、二時間ほど焦のつかないように煮つめる。
こんなえびは誰の目にも無論見事だし、一尾ずつで上等のてんぷら種になる材料だから、よほど経験のある食通でなければ、やってのける度胸は出まい。
これをいきなり佃煮風にするのは、もったいない気がして、ちょいとやりきれないが、それをやりおおせるなら、その代わり無類のお茶漬けの菜ができるわけだ。
つまり、本場の車えびを醤油と酒で煮た佃煮である。
例のように熱飯の上に載せる。茶碗が小さければ半分に切ってもいい。それに充分な熱さの茶を徐々にえびの上からかける。
すると、醤油は溶けてえびは白くなる。やがて、だしが溶けて、茶碗の中の茶は、よきスープとなって、この上なく美味いものとなる。
季節はいつでもよいが、夏など口の不味い時に、これを饗応すれば、たいていの口の奢った人でも文句はいわないだろう。
えびは京阪が悪くて、東京の大森、横浜の本牧、東神奈川辺で獲れる本場と称するものがいい。
こういうものを賞味するようにならなければ、食通とはいえまい。
この食通も、てんぷらなら二十や三十はわけなくペロリと平らげるが、茶漬けという名がつくと妙におじけだす。
車蝦茶漬けの味わい
改めてこの文章を読んで気づいたのは海老の出汁が溶けて、この上ない美味いスープが出来るという記述。要するにこの茶漬けは、とにかく汁が美味い茶漬けなのかもしれません。確かに海老の出汁で醤油と酒だけとは思えない豊かな風味が出ていました。
茶漬けは具材をほぐしながら、具材と汁と飯が合わさって美味いものですが、車蝦は碗の中でつついてもほぐれていきませんでした。これは二時間煮ると解決されるのか??試しに細かく手で裂いてからご飯にのせて熱い粉茶をかけてみたら一段と美味くなりました。それでも海老を食うとまだまだ塩辛いかったです。
これは実は二杯目を食べた時に試した事なので、結局のところ、お代わりしました。やっぱり美味いんですよね。飯抜きで海老と茶だけのものも沢山飲みました。塩辛さの加減がつけばもっと至高の茶漬けになりそうですが、まだまだ未熟という事ですね。
まだ車蝦残っているので、またやってみたいです。今度は圧力鍋を使うか、水とみりんを入れて煮てみるか、自己流に楽しんでみたいです。念願の車蝦の茶漬けはいい経験となり、食に対する「度胸」は増したかも!?お酒のすすむ、いい夜でした。
今回使った車海老は食べチョクで取り寄せました!
お茶漬けの楽しみ
お茶漬けにいつも使っているこの器ですが、実は自作の茶碗なんです!山梨県の八ヶ岳に旅行で行った時に陶芸コーナーがあって、お茶漬けの茶碗が作りたい!と思って作成しました。はじめからお茶漬けの為に作った器なのに・・・なんで緑にしたんだろう。たしか春で、いま限定の若草色!って感じだったので選択したような。気に入っているのでいいんですが、写真映えはしなくて残念・・・。
お茶漬けを美味しく食べた後のいつもの楽しみ、お茶タイムです!粉茶も一回入れただけでまだまだ飲めるし、茶碗なのでお茶飲んでもいい感じ。今回は梅干しと昆布茶を入れて粉茶を注ぎ入れました。おいしくておかわり!お茶でお腹いっぱいです。
さて、ご紹介してきました、粉茶で作るお茶漬けの世界はいかがでしたでしょうか?
簡単な茶漬けですが美味しくて奥深いのでとってもおすすめです!また挑戦していない魯山人の茶漬けもありますし、やってみたい食材はたくさんあります!また美味しいのが出来たらこちらの記事に追記していきますので、是非またのぞいてみてください!